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一歩先ゆくオウンドメディア事例 –ライオン株式会社「Lidea」から学ぶ−

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一歩先ゆくオウンドメディア事例 –ライオン株式会社「Lidea」から学ぶ−

2015年現在、コンテンツマーケティングには多大な注目が集まり、実験フェーズから、企業のマーケティングの中心として多くのリソースを投入する企業も増えてきています。今回紹介する、ライオン株式会社が展開するオウンドメディア「Lidea(リディア)」もその1つで、これまでのオウンドメディアの事例とは一線を画した試みとして一見の価値があります。

一般的なオウンドメディアの事例を振り返る

「一線を画した試み」を明らかにする前に、オウンドメディアとは何かを簡単に説明し、また世間一般に認識されているオウンドメディアのイメージを明らかにしてみます。

オウンドメディアとは?

オウンドメディア(Owned Media=自社サイトやECサイト、自社ブログなど)は、ペイドメディア(Paid Media=4マスを含めた広告媒体)、アーンドメディア(Earned Media=SNSや口コミサイト、キュレーションメディアなど)の3つを合わせた、トリプルメディアと呼ばれるチャネルの1つです。

一般的にはオウンドメディアはブログメディアのような情報発信メディアをイメージすると思いますが、自社サイトや自社の販売(EC)サイトもオウンドメディアに位置づけられます。

これまでのマーケティング施策はペイドメディア=広告を使って、自社ウェブサイトへの集客やブランド認知を目指す事例が通常でした。ブランド力のあるペイドメディアに出稿すれば、かつては効果が早く、高い確度で現れました。一方でデメリットは、出稿の期間が過ぎれば効果が0になること、費用が高額であるため初期投資をかけられない企業にとってハードルが高いことが挙げられます。

こうしたデメリットを補完する役割が、オウンドメディアに期待されている部分です。自社でウェブサイトを制作したり(あるいは無料のウェブサイト制作サービスを使い)、自社の社員がコンテンツを制作したりすれば、大げさに言えば無料でオウンドメディアを作ることができます。またコンテンツをインターネット上に公開している限りは、多くの人に見てもらえる資産として積み重なっていきます。デメリットはペイドメディアと対になる部分で、一般的に多くの人の目に触れるまでには時間を要することです。

一般的なオウンドメディアの事例

前述の「初期投資が少なくて済む」「コンテンツが蓄積された資産となる」という点から、オウンドメディアマーケティングに取り組む企業は爆発的に増えました。これらのオウンドメディアの事例には、下記のような特徴・課題があると考えています。

  1. 「コンテンツが蓄積された資産となる」点とSEOとの親和性から、(主にテールワードの)キーワード視点のコンテンツSEO的アプローチを軸としている。(主観では中規模以下の企業はコンテンツSEO的アプローチが多く、大企業以上になるとブランディングを軸としていることが多い。これは中規模以下の企業は、SEOでビッグワードを刈り取ることが難しいからだと思われる)
  2. コンテンツの制作においては、外部のライター、特にクラウドソーシングによる安価で発注できるライターに外注している。(ここはライターの単価ではなく「専門性の有無」が重要だと考えている)
  3. オウンドメディアだけ、あるいはオウンドメディアとソーシャルメディアだけの運用に留まっている。
  4. 情報発信だけに留まり、マーケティングとしての役割を十分に果たせていない。

特に1の特徴は顕著です。これについては下記の記事でも触れていますので参考にしてください。

コンテンツマーケティング=オウンドメディアという考えは捨てたほうがいい -ユニクロの事例から- 

一般的なオウンドメディアが持つ特徴や課題がわかったところで、次に、ライオンが運営するLideaの事例を見てみましょう。

デジタルマーケティング戦略の中枢とも言える「Lidea」の試み

2014年10月にリリースした「Lidia」。まだ開始から1年足らずですが、オープン時には記者会見を開き、すでに高い認知度を有している事例と言えます。

当の会見で発表された内容で特筆すべきは以下のとおりです。

  1. 自社研究員などスペシャリストによる高い専門知識を元にしたコンテンツ
  2. 社外パートナー(メディア)との連携
  3. DMPデータを活用したパーソナライズ

1つずつ見ていきましょう。

1.自社研究員などスペシャリストによる高い専門知識を元にしたコンテンツ

Lideaでは、「『暮らしのマイスター』と呼ばれる専門家が、オーラルケア、経するケア、選択、リビングケアなどについての専門知識をもとに生活者の疑問や悩みに答えたり、日々の彩りとなるようなエンタメコンテンツを展開する。」としています。
引用:ライオンがデジタルマーケティング戦略発表、DMP導入からコンテンツネットワーク構想まで|MarkeZine 

多くのオウンドメディアが抱える課題としては、専門性の高いコンテンツを作る体制を作れないといった点が挙げられます。社内にいる人がもちろん専門家なのですが、そうした方は別の業務があり、コンテンツ制作に時間を割けないことが多いのです。また外部に委託するにしても、適した人材がなかなかいない、あるいはいたとしてもコストが上がってしまうのです。

社内の人員をコンテンツに投下するのは勇気がいることです。Lideaの事例では思い切ってここに投資して、信頼性の高いメディアとなり、ユーザーの信頼を勝ち取ろうとしています。たとえSEOを起点にコンテンツを考えていたとしても、そこに「確実に信頼に値するコンテンツ」があることは、大きな違いなのです。

2.社外パートナー(メディア)との連携

Lideaは「メディアサイト、キュレーションアプリ、クックパッドのようなサイトを含め、生活者が見ているサイトとライオンがパートナーとして連携し、コンテンツを提供」するとしています。
引用:ライオンがデジタルマーケティング戦略発表、DMP導入からコンテンツネットワーク構想まで|MarkeZine 

多くのオウンドメディアが自社サイトだけ、あるいは自社サイトとFacebookだけに注力しがちなのに対して、Lideaでは多くのメディアとパートナーシップを組み、露出を最大化しようとしています。前述したオウンドメディアとペイドメディアのメリット・デメリットを見るとおり、オウンドメディアが「うまくいけば」ペイドメディアの優先度は下がりますが、それでもチャネルを広げていく考えは重要です。今では記事広告を出すという旧来のやり方だけではなく、CDN(コンテンツディストリビューションネットワーク)サービスも増えてきましたし、メディア同士が連携する事例も増えてきました。他メディアの活用方法も変わってきているのです。

3.DMPデータを活用したパーソナライズ

DMP(データマネジメントプラットフォーム)に関しては、「DMPを活用し、会員情報やサイト内訪問履歴から、トップ画面やおすすめ記事紹介欄に、一人ひとりの興味・関心に合った情報を掲載する」としています。
引用:ライオン、新生活情報メディア『Lidea』を開設|RBB TODAY

ウェブサイトへの再訪問を促すための施策は、例えばFacebook広告やディスプレイ広告などを用いているメディアもありますが、Lideaが採用するプライベートDMP(外部のオープンデータに加えて、自社が持つ顧客情報を組み合わせることで、よりユーザーの属性に合わせた広告やコンテンツの配信ができる)を使った事例はほとんど聞いたことがありません(Facebookのカスタムオーディエンスはある程度浸透していると思いますが)。

DMPでより個々人に適した形で広告・コンテンツ配信を行うことによって、単なる情報発信によるユーザーとの一瞬の接点を作るだけではなく、ユーザーからのエンゲージメントや再訪問率を高め、実際の売上に貢献することが期待されます。

上記の3点から分かるように、Lideaはこれまでのオウンドメディア事例とは異なり、多くのオウンドメディアが抱える課題に対処したような形で展開されています。この力の入れようは、コンテンツマーケティングを単なるデジタルマーケティングの一施策ではなく、デジタルマーケティングの基軸に据えていると言えます。コンテンツが中心となる時代の到来を感じさせる先進的な取り組み。近い将来はこれがスタンダードになるかもしれません。こうした事例から、自社のマーケティングに取り入れられるものを学んでいきたいものです。

参考:Lidea|ライオン株式会社


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