コンテンツマーケティング研究所

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ストーリーを語ることでファンを作る ―コカ・コーラ社の「Coca-Cola Journey」に見るブランド発信の在り方

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コンテンツマーケティング_コカコーラ

2013年6月25日。日本コカ・コーラ社がコーポレート・サイトを全面リニューアルし、「Coca-Cola Journey」という名でオープンしました。
サイトに入ってまず目に飛び込んでくるのは、雑誌記事のようなコンテンツの数々。その内容もビジネスからライフスタイルまで幅広く、一目見ただけでは飲料を製造・販売している企業のコーポレート・サイトとわからないほどです。このサイト・リニューアルの根底には、ストーリーを語ることでファンを作るというコカ・コーラ社の狙いがあるようです。「Coca-Cola Journey」立ち上げに携わった日本コカ・コーラ社広報の佐藤克哉氏はインタビューの中で、新サイトは「企業としての思いをもっとダイナミックなストーリーテリングで語っていくというのが特徴」だと語っています。

ではストーリーを語るという姿勢の根本にはどのような問題意識があり、コカ・コーラ社は具体的にそれをどう解決しようと試みているのか。新サイトの内容を詳しく見ながら考えてみます。

歴史を紐解き、積み重ねてきた想いを伝える


コンテンツマーケティング_ストーリー

今回のプロジェクトの目標として、コカ・コーラ社は「“会話に繋がる”情報発信」を掲げました。このアイディアの背景にはソーシャルメディアの普及があります。近年では、企業が発信した情報を消費者が受け取るという従来の形式から、情報を受け取った消費者がそれをシェアしていくという形式にシフトしてきています。そのような状況に合わせて、消費者の会話を生み出す情報を発信していくべきではないか。これがコカ・コーラ社の導いた結論だったのです。

自社が取り組んでいる様々な活動を「コカ・コーラらしい前向きなトーンとダイナミックな切り口」で発信し、知らせることでまずブランドにより深く共感してもらう。そしてそのストーリーをシェアしてもらうことで、より多くの人にブランドを浸透させる。この目的を実現するために、コカ・コーラ社は自社のブランド・製品の歴史を紐解くという戦略を取っています。例えば、『Coca-Cola ADventure―そのクリエイティブ・ストーリーに見るHAPPINESSの届け方』というコンテンツ。元『広告批評』編集長・河尻亨一氏によるこの連載は、コカ・コーラ社のクリエイティブの歴史を振り返りながら、同社がいかにして「HAPINESS」を世界中にシェアしてきたかを分析しています。また『ドイツ生まれ―ファンタ誕生までの驚くべきストーリー』というコンテンツでは、ファンタ誕生の背景からその名前の由来までを知ることが出来ます。これらの物語を通して、コカ・コーラ社は自らの歴史を紐解き、積み重ねられてきた想いを前面に押し出しています。これこそまさに、世界中で長きにわたって愛されてきたコカ・コーラならではのストーリーテリングなのではないでしょうか。

著名人に想いを託し、物語の質を高める


コンテンツマーケティング_コカコーラ

コカ・コーラ社の新コーポレート・サイトを見ていくと、個々の商品の情報や魅力を直接伝えるコンテンツが比較的少ないことに気がつきます。これは一体なぜでしょうか。前述のインタビューで、佐藤氏は次のように語っています。

“コカ・コーラは認知度が98~99%。そうなると、いかに報道してもらうか、露出するかということはそれほど求められていなかったりします。むしろ企業やブランドのあるべきストーリーや文脈に添わないかたちで載っても意味がない。ブランドとして語るべきことがちゃんと語られているのかということが重要です。

報道や露出の量ではなく、その質が自社の高いブランド力にふさわしいものであるかどうか。コカ・コーラ社が最も重視しているのはこの部分です。そしてその質の高さを担保するために、同社は著名人を起用したコンテンツを多く用意しています。例えば『独占インタビュー「46歳、現役の流儀」』では、元サッカー日本代表選手・三浦知良氏にサッカーへのこだわりを聞き、そこに立ち現われる「情熱」のイメージを自社ブランドに重ね合わせています。また『特別対談』というコンテンツでは、日本コカ・コーラ社のティム・ブレット社長の相手役として経済学者・竹中平蔵氏を選び、日本経済の現在に絡めてコカ・コーラ社の魅力を同氏に語ってもらっています。
自分たちのブランドが持つ想いを、著名人に代弁してもらう。それによってブランドへの注目度と共感度を高め、ストーリーをシェアしてもらいやすくする。これがコカ・コーラ社のもう1つのストーリーテリングの手法なのです。Facebookにおけるこれらの記事のシェア数が特に多いことからも、この方法は大変有効なものと言えそうです。

自社なりの切り口を考えよう

ここまでコカ・コーラ社の新コーポレート・サイト「Coca-Cola Journey」について見てきました。「Coca-Cola Journey」をプラットフォームとし、自社の取り組みや考え方を発信することで、より多くの人にブランドに共感してもらうことをコカ・コーラ社は第一目標としています。そしてこの目標を達成するための手段として、コカ・コーラ社が最も重要視しているのが「ストーリーを語る」ということです。

マーケティングにおいて、ストーリーを語ることの大切さはすでに多く言及されています。単なる個別の情報・データではなく、文脈の存在するストーリーを提示することで、企業の大切にする想いや考えがより伝わりやすくなるからです。その一方で、多くの人が共感するストーリーを語ることは決して簡単なことではありません。コカ・コーラ社はその困難に対して、自社のブランド・製品の歴史を紐解いたり、著名人に自分たちの想いを託したりすることで立ち向かおうとしています。長い歴史と強大なブランド力を有するコカ・コーラ社。しかしそのストーリーテリングの手法は、認知度や規模に関わらずどの企業も実践できるものです。今回の事例を参考に、自社なりのストーリーテリングの切り口を考えてみてはいかがでしょうか。



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