コンテンツマーケティング研究所

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紙媒体とwebサイトを考える(紙媒体とウェブサイトの連携は可能?)

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紙からwebへ

 あこです。ウェブマーケティングの世界では、リアル世界との連動を踏まえたO2Oが流行中です。コンテンツマーケティングはブログだけではありません。紙媒体やテレビなどの旧来のマスメディアやイベントなど、コンテンツを展開する場所は数多くあります。今回はリアルの代表として「紙媒体」を取り上げて、web誘導への可能性について考えてみたいと思います。

導線設計をしただけで、満足していませんか?

「続きはweb(スマホ)で」や、QRコード・ARの技術を使った、紙媒体やテレビ番組などからのweb誘導はよく見られます。スマートフォンの普及も手伝って、ファッション雑誌に掲載されている商品をすぐにスマートフォンで購入できる、料理番組のレシピをすぐに参照できるなど、ウェブとその他メディアの連動と相互誘導はますます盛んになったといえるでしょう。

 たとえば雑誌やポスターなどにQRコードを付け、「詳しい情報はこちら」と記載してあるもの。テレビCMや紙媒体がストーリー仕立てになっていて、続きが気になるところで「続きはwebで」と締めくくり、web誘導するという導線設計が流行したこともありました。しかし、雑誌やポスターに単純にQRコードや検索ワードを付けただけでは、web誘導は期待外れに終わってしまうケースもあります。

 この手法のユーザーへのインセンティブは、情報がどこにあるかではなく続きが気になるかどうかという点が重要となります。誘導先への期待感醸成と、誘導先メディアの特性を生かした情報発信が求められます。検索やQRコード読み取り、アプリダウンロードなどを介してメディアをまたぐということは、ユーザーの手を煩わせるということです。この点を意識しながら、それでもなお行動を起こさせるような施策を考えることがネット宣伝の成功につながります。具体的な事例を見ていきましょう。

紙媒体とウェブサイトの連携を実際に考えてみる

紙は特別なメディアだ——雑誌『4travel』の場合


紙からWebへ_4travel

 情報を載せられる範囲として、紙媒体には限界があり、webサイトには、ほぼありません。紙媒体の情報掲載の限界を弱点と捉えず、メリットとしてうまく活かす方法を考えてみましょう。この際、紙媒体とwebサイトに掲載されている情報が重複することは避けます。

 たとえば、旅行クチコミサイト「フォートラベル」の事例。2009年から2010年にかけて、このサイトと連動する雑誌『4travel』が角川メディアハウスと共同で発売されました。
 この雑誌には、実際に旅に出た人の声や写真が掲載されています。「フォートラベル」の売りは旅行者たちによる旅行記。旅行のクチコミサイトとして、多くの情報と写真が掲載されています。それが上手に雑誌化されたのが『4travel』です。つまり、普段サイトを利用する人々のコミュニティマガジンとなっているのです。

 具体的には、雑誌内で特定の観光地の特集を組んだ際に、そのページに使用される旅行記や写真がサイトのユーザーのものが使われます(掲載時は事前の許可を取って掲載し、奥付にはきちんと名前が載ります)。
 誰でも情報を掲載できるwebサイトに対し、紙媒体に載るということは、やはり特別なこと。自分が投稿した写真が、雑誌に掲載されるかもしれないという期待感もまた、サイトを盛り上げる動機となっていました(現在は発行終了しています)。

角川メディアハウスと共同でトラベルコミュニティマガジン「4travel」を発売(2008年プレスリリース)

紙媒体の「静」とwebサイトの「動」を組み合わせる——IKEAの場合


紙からWebへ_IKEA

 IKEAの2013年版カタログは、スマートフォンアプリと上手に組み合わせて面白い仕組みを作り上げています。専用アプリを入れカタログにカメラをかざすと、商品の詳細情報を動画で見ることができ、棚の中の様子をのぞき見たりすることもできます。web上で見られるコンテンツは、入口である紙を配布したあとでも、常に最新に更新することができます。

 紙のカタログといえば、情報量が増えれば増えるほど重くかさばりますが、最低限の情報を紙に集約し、スマートフォンやウェブだからこそできる有意義な情報展開を考える必要があることがわかる事例ですね。

Webから紙媒体への誘導——ニュースサイトや新聞の場合


紙からWebへ_Wired

 制限の多い紙媒体よりも、制限の少ないwebに誘導したくなるケースが多くなってきていますが、webから紙媒体の入手・購入へつなげる手法も目立ってきています。web上にも独立メディアを持っている雑誌・新聞がその例に挙げられます。

 「WIRED JAPAN」は、雑誌としてだけでなく、ウェブメディアとしての側面を持っています。雑誌とwebでは異なる内容が掲載され、webは毎日更新、雑誌は月に一度の発行です。毎日ウェブメディアを読んでいるファンは、同編集部が発行する紙媒体にも興味を持ち、購入したいと思うかもしれません。ファンがそのように思ったときのために、きちんと導線設計(Amazon.jpへの購入リンク)がなされています。

 また、WIRED JAPANの場合、PDFをダウンロードできるのは雑誌購入者のみの特典となります。電子版が応えられるニーズは、掲載内容の一部の情報を持ち運びたいということ。雑誌は切り取ることに抵抗がある人もいます。そんなとき電子版であれば、いつもの端末にデータを入れて必要な情報のみを必要なときに取り出すことができ、家ではゆっくり紙の雑誌を読むことができます。実際、まだまだ電子版は一覧性において紙には勝てません。

「ニュースはすべてwebで集められればいい」と電子版のみの購読をしても、保存や共有を考えて紙媒体が欲しくなることもある。そんなときに紙媒体も入手するハードルが低くなっている。新聞社の場合、紙の新聞の購読者を増やすことが重視されるため、紙媒体を入手するハードルを下げてwebから導線設計するのは有効策だと考えられます。

紙媒体とwebのメリットを最大限活かすために

 このような複数メディアの組み合わせのポイントは「混合させた媒体のどれかを死んだ状態にしてはいけない」「ユーザーの手を煩わせていることを忘れてはいけない」この2点ではないでしょうか。

 メディアミックスをするからには、導線設計だけでなく各媒体にきちんと存在する意味を持たせなければなりません。そもそもメディアミックスの原義は、各メディアの弱点を補い合うことです。そして、ユーザーの興味に効果的に働きかける仕組みと情報を用意しなければなりません。顧客に「面倒臭い」と思われてしまったらアウトです。手間がかかっても得られるメリットをどれだけ提供できるかがキモになるでしょう。あらためて紙媒体とwebのメリットを以下に挙げます。

紙媒体のメリットWebのメリット
掲載されることの特別感が強い更新が容易
一覧性が高い閲覧履歴を測定可能
回覧性を持つ持ち運びコストが少ない

 紙とwebそれぞれにメディアや情報があるのにも関わらず、どこかの効果が最大限発揮できていない場合、「顧客に提供できる価値は何か」「そのための最適のメディアを使っているか」を見直してみてはいかがでしょうか。紙媒体とweb媒体、双方の顧客接点を増やすことで、顧客との関係性をより強固にしていきたいですね。



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