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CMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)の実情とこれから

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CMO

御社にはCMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)はいますか?

なかなか馴染みのない役職名ですが、マーケティングの重要性が高まるにつれて少しずつその役職も知られてきているように思えます。バリュードライブでは、2012年8月に、「CMO マーケティング最高責任者」の著者である一橋大学 神岡太郎教授にインタビューする機会がありました。依頼元の日経新聞社さんの許可を得て、ここに紹介したいと思います。

神岡先生は、今から6年も前の2006年に「CMOマーケティング最高責任者」を出版し、早くからCMOの重要性を唱えています(ちなみに、この著書については、出版から時期が経ったことや、ご自身の研究が進んだこともあり、また書きたいとおっしゃっていました)。

インタビューは、「これからのマーケティングとCMOのありかた」として以下の点を中心におこないました。

1) 企業を取り巻く市場環境
2) これからのマーケティング活動に求められること
3) CMOのあるべき姿

その中からCMOに関係する部分をご紹介します。

マーケティングとITの融合で起こる化学変化

インタビューは、「モバイル端末の普及、ソーシャルメディアの発達により、顧客のほうが企業よりも多くの情報を持つようになった」という情報の非対称性がなくなった話から始まりましたが、企業側もこのテクノロジーの進化を前向きにとらえ、顧客との対話を進める必要があるとしています。
その中で欠かせないのがIT。以下の言葉を引用します。

マーケティングはしばしば「アート」とか「センス」とかいった要素が強い領域だといわれます。しかし、その「アート」を高めるのは、ITによる「サイエンス」があってこそ。ITによって属人性を排除し、客観的な情報や今まで知りえなかった情報を導き出し、高い次元でアートを発揮できると、非常に強い競争力が生まれるでしょう。

つまり、マーケティングとITとがうまく協業できれば、大きな競争力になるというものです。しかし、組織が大きくなると、なかなかIT部門とマーケティング部門の協業が進まない現状があります。上手く協業するためには、「マーケティングはロードマップをIT部門に示すべき」としています。キャンペーンごとに場当たり的に要求を出しては、IT部門はその重要性が判断できないということでしょう。

反対に、IT部門は「システム開発担当の枠から出て、ITをどのように使って企業経営に貢献するかまで踏み込んでいくことが必要」としています。クラウドが発達した今、システムの持ち方の選択肢も増え、IT部門はマーケティング部門とともにビジネス貢献をより意識するようにと解釈しました。

マーケティングを企業レベルでマネジメントすること、
これはCMO固有の仕事である

このようにマーケティングとITとの融合が言われていますが、マーケティング部門のトップであるCMOとはどのようなミッションを持つのでしょうか。

神岡教授によれば、CMOはマーケティングを熟知しながらも、組織運営のスペシャリストでなければならないということです。前述の著書にも書いてありましたが、P&Gの元CMO、ジェームズ・スティンゲル(James Stengel)は、「私の仕事はP&Gのマーケティングの能力を高めること」と表現しています。ひとりのマーケターでできることは限界があり、組織として底上げするための仕組み化をリードすることが求められるでしょう。スポーツの世界でいわれている「名選手は名監督たりえるか」に通ずるものがあるように思えます。

もう一つ、エグゼクティブとしての仕事です。CEOの右腕としての経営戦略策定、IT部門(CIO)との協業、組織力強化のための人事施策、そしてCFO(財務担当)へのマーケティングのアカウンタビリティー(説明責任)にまつわること、、などなどです。

定石は見つかっていない。
それでもCMOは必要だという共通認識

最後に、「理想のCMO像とは?」という質問を投げてみましたが、一言で言うことは難しいという回答です。「米国でCMOがポピュラーになって、まだ10年も経ってない。必ずしもうまくいっている例ばかりとは言えず、試行錯誤している。」と。興味深いのは、「それでもCMOは必要だ」と多くのCEOが答えているそうです。会社のマーケティング能力を高めるエグゼクティブはどんな形であれ必要だというのが米国での認識だとしています。
適任者がいなければ、「CMOオフィス」という形でチームでその機能を担う方法もあるという話も出ました。

企業活動の競争力の源泉はマーケティングに移りつつあること、マーケティング組織が長らく手つかずのまま改革の聖域とされてきたケースがあることを考えると、CMOの機能を何等かの形で企業内に持つことは必要だろうと私自身も思います。


オリジナル記事:日経BIZGate
"顧客と企業の立場が逆転、競争力の源泉はマーケティングへ"(掲載終了)


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