コンテンツマーケティング研究所

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BtoBかつIT業界のプロモーションがうまくいかない「たったひとつの理由」

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こんにちは。バリュードライブの久野です。
昨年バリュードライブにジョイン後、主にBtoBのIT業界のクライアントを担当させて頂いております。

私はコンテンツディレクターにキャリアチェンジする前は、ウェブディレクターとしてテクニカル周りのフォローアップをおこなっていたり、前職が独立系ソフトウェアベンダーだったり、という経験を積んできました。そのため、いわゆるコンピューター関連のテクノロジーに関し、多少なりとも明るいこともあり、IT業界の企業様を中心にご支援させて頂いています。

改めて考えたい、IT系でもBtoBとBtoCで異なるプロモーション手法


IT系の中でもBtoCの場合、テクノロジーの知識、経験は必須とはなりません。むしろ、そのテクノロジーをベースとした製品・サービスの特徴を理解した上で、その対象となるエンドユーザーに対し、利用メリットを「自分ごと」となるような訴求をおこなうことが最も重要なポイントとなります。訴求するためにさまざまなタッチポイントを通じて利用メリットを伝達して購買を喚起したり、競合からマインドシェアを奪うべく、インプレッションを稼ぐような施策を打ったり、ということをしていくわけです。この場合、プロモーションを担当する人に求められるのはテクノロジーの知識よりもメディア特性だったり、対象となるユーザー層の嗜好、行動の理解となります。

もちろん、テクノロジーが求められるような場合もあります。一定数存在する、「マニア」なユーザー層に対し、競合製品との差別化ポイントを訴求するような場合です。しかし、この場合は「ニッチ」であるがゆえ、マストではなくウォントの要件となることがほとんどでしょう。

もちろん、BtoBのマーケティング部門の場合でも、クラウドサービスなどでは、機能訴求のみのプロモーションで事足りることもあります。スタートアップで初めてこのようなツールを利用するといった場合、既存システムが存在しないため、そこを考慮する必要がないからです。しかし、多くの場合、既存システムからのリプレイスだったり、連携だったり、といったことが発生するため、TCO(Total Cost of Ownership)観点からの訴求だったり、安全性の裏付けのために技術的な部分を明示することが必要なことも少なくありません。
また最近ではAPIを利用した、ほかシステムとの連動なども考慮する必要もあるでしょうデータ連携をするような場合、データベースの特性もポイントとして訴求することが求められます。

「機能訴求だけでも事足りることもある」といったクラウドサービスでもこのようにテクノロジーの話がでてきます。ましてやソフトウェアやハードウェアなどの場合は何をいわんや、というような状況となります。

自社の製品を詳しく知らない社員がその魅力を語ることができるか


話をわかりやすくするために、コンピューターに埋め込まれているCPUの話を例に考えてみることにしましょう。CPUのメーカーのプロモーションの対象となるのは、一般的にコンピューターメーカーとなります。自社のCPUが優れていることをメーカーの設計責任者に訴え、採用してもらうことがプロモーションの目的となります。

※現実的にはプロモーションの力だけではなく、それ以外の因子が大きく働くことになりますが、ややこしくなるため、ここでは考えないことにします。

プロモーションの担当者は自社製品の強みを訴え、競合製品との差別化を図ります。自社製品は浮動小数点演算を得意とするFPUを組み込んでいるうえ、I/Oにおけるボトルネックを過去製品比較でXX%の解消を実現したため、高度な計算能力が求められる動画制作などのコンピューター用途には長けている、といった訴求ポイントをより具体的に伝達することが担当者への説得力となり、自社製品の採用につながるのです。そのために他社のCPUとさまざまな切り口で比較・分析したホワイトペーパーを用意したり、開発ストーリーをウェブに掲載したり、その処理能力を見せつけるための動画を用意したりするのです。

そのときにテクノロジーがわからない社員がプロモーションを担当していると、そもそもその比較すらできない、といったことすら発生しかねません。レコード会社のプロモーション担当が音楽に詳しくなかったら、プロモーションする楽曲の魅力を伝えることはままならないのと同じことです。

実際にCPUを作っているような企業は企業規模も大きいため、テクノロジーがわからない社員がプロモーションを担当している、というケースはほとんどありません。それは、そのようなスキルセットを持った社員を高待遇で採用するか、長期スパンでそうした人材を社内で育成しているためです。しかし、それほど規模の大きくないソフトウェア・ハードウェアベンダーやSIerなどでは、予算や限られた人的リソースの中でプロモーションをすることになるため、わかっていても対応できないケースが散見されます。

そのような場合、プロモーションをおこなっても説得力が弱くなり、プロモーションで本来出せるはずの製品の魅力をフルに出すことは難しくなります。それは先の例でもおわかり頂けたのではないでしょうか。

テクノロジーに詳しい社員とプロモーションに長けた社員の協業はうまくいかない!?


プロモーションを手がける担当者がテクノロジーに詳しくないとプロモーション実施以前の問題となるため、その対策として自社の技術者だった社員をマーケティング部門に異動させることがよくあります。
しかし、テクノロジーには明るくてもプロモーションの経験がないため、多くの場合で感覚を養うのに時間を要します。また、もともと技術者とプロモーション担当者というのは性格的にも大きく異なることもあり、時間をかけてもなかなかプロモーション観点での業務ができない、ということもあります。

そういう場合、プロモーションに詳しい担当者とテクノロジーに詳しい担当者が協同でプロモーションを実施していくという方法を選択する企業も少なくありません。しかし、この方法でもうまくいかないケースがあります。その理由は大きく2つに分けられます。

「相手がやってくれると思っていた」という意識が業務の抜け漏れを起こす

ひとつめは「業務範囲の区分がうまくいっていない」こと。よく、野球に例えて「遊撃手と三塁手がお見合いして、三遊間を抜けてしまう」というような表現がされることもありますが、担当者同士の「相手がやってくれるだろうと思っていた」という思い込みです。マーケティング部門の場合、もし業務の抜け漏れがあっても事業に対してのインパクトが急激に生じるわけではありません。だからこそ、このような事態が発生してしまうのです。

これは超がつくような大手企業でも数名しかいないような零細企業でも発生しますし、プロモーションに限った問題ではありません。要するに、複数名で担当することで結果的にうまくいかない、ということがあるということです。要するに、企業体が複数名の社員からなる「チーム」であるがゆえにつきまとう問題ですが、本記事は組織論的なことを述べるものではないのでこの場ではこれぐらいにとどめたいと思います。

業務特性が根源となる「対極な観点のクセ」は予防することも難しい

もうひとつの問題はプロモーションする対象に向けての「観点の違い」です。よく、「マーケットイン」や「プロダクトアウト」という表現が使われますが、プロモーション経験の社員はマーケットイン観点で、技術者からプロモーションに関与した社員はプロダクトアウトの観点で考える「クセ」があります。それは業務自体の違いから生じるため、真面目に取り組んだ人ほどそのクセは強化されてきています。その両者がそれぞれプロモーション対象の訴求ポイントを考えた際、どのような結果が生まれるのか、火を見るより明らかでしょう。

近年、マーケティングの考えが世の中に広く浸透した結果、極端なケースは少なくなりつつあるものの、ある程度経験を積んだ社員同士だとそれぞれの経験がゆえに持論をぶつけ合うような衝突を生むようなことは今でも多々生じています。ここまで読み進めて頂いた方の中でも心当たりのある方はいらっしゃるのではないでしょうか。機能的な観点から見ると「プロモーションに詳しい社員」と「テクノロジーに詳しい社員」をセットで業務に当たることで両者が補完し合うと考えがちですが、なかなかうまく問屋が卸さないものです。

経営者の代替機能として外部から「隙間を埋める」支援をおこなう


先に挙げた2つの問題に共通すること、それは「会社が複数人からなる組織であるゆえに発生するジレンマ」ということです。IT業界におけるプロモーションはプロモーション、テクノロジーそれぞれが専門性が高いゆえにこのような問題が発生しやすいと言えます。
すなわち、ふつうのプロモーションでも「三遊間を抜ける」ようなことがしばしば起こりがちな連携業務において、バックグラウンドの異なる担当者が協業することで、当人同士が良かれと思っての行動が結果的に裏目になってしまう、ということです。この事態を防ぐためにできることはひとつしかありません。

それは「強力なリーダーシップ」で業務をグイグイと引っ張っていく存在をプロジェクトのリーダーに据えることです。

社内でそのような存在にふさわしい人材の要件は、プロモーション部門と技術部門の双方に影響度があるということ。組織の構成により異なるところはあるものの、多くの場合は経営者が該当します。すなわち、経営者が自ら陣頭指揮を取り、双方の部門に働きかけていく、ということです。
しかし経営者がそのような対応をするほど時間がない、という組織がほとんどなのが現実であり、そういった場合は外部の組織に実務を任せることになります。そうした際にお声がけを頂くのが弊社のようなテクノロジーに詳しく、かつマーケティング視点も有したプロダクション、エージェンシーです。要するに、組織に発生する隙間をフォローアップし、外部からのリーダーシップで解決していくことが私たちに求められることになります。

弊社が担う外部からのサポート領域は、企業様の「求めに応じて」変わることになります。担当者同士の間を埋めるために外部視点からコンサルティングをおこなったり、調整役をおこなったり。
特に、弊社の主要な事業領域でもある「コンテンツマーケティング」の最大の要所である、「コンテンツ」は特に先のような状況の場合、制作自体が難しいこともあり、コンテンツの制作だけをおこなうことも少なくなく、多くのニーズを頂いているような状況です。もしこの記事をご覧頂いて関心を持たれましたらぜひ弊社にもお声がけ頂けたら幸いです。

次回は弊社がどのような視点でBtoB、IT業界のオウンドメディアを分析しているのかをお伝えする記事を執筆する予定です。こちらの記事もどうぞ、ご期待ください。


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